はじまりは小腸穿孔: Part2 診断・緊急入院・緊急手術

消化管穿孔: 中空の消化器はいずれも穿孔が生じる可能性があり、穿孔が生じると腸の内容物が漏出し、すぐに手術を行わなければ敗血症(生命を脅かす血流感染症)や死亡に至ることがあります。 ー MSDマニュアル家庭版

注意: このポストは実際の出来事から数ヶ月経過してから執筆しており、当時のことを思い出しながら記憶を元に構成しました。実際の出来事とは異なる可能性があることをご留意ください。

病院に到着

病院に到着すると車寄せから緊急外来へと運ばれ、病院のストレッチャーへ移動して救急車から病院へと収容されます。ここから先は病院の管轄となるようで、救急隊員から病院スタッフへ私が説明した症状や救急車の中での様子を説明しています。その中で「身寄りなしです」という説明があり、「あぁ、一人暮らしだし世間一般だと自分はそのカテゴリになるんだなぁ」としみじみ感じます。

救急外来の部屋に入ると月曜日の午前中ですが、自分以外にも何人かの患者がいるようで、診察をする音がします。うろ覚えですが、私は体温、血圧、酸素飽和度が測定され、採血をされました。コロナやインフルエンザであることが否定できないため、鼻に棒を入れる検査をし、待っている間はマスクを着用するよう言われます。また触診もされ、どこが痛いのか、軽く押しながら診断がされます。自分では分からなかったのですが、下腹部、腸のあたりを押されるとかなり痛いです。痛み止めの点滴も打っていただいて、安静にしながら各種検査を待っていました。

レントゲンとCT

しばらくして、レントゲンとCTを撮ることになりました。「CTって聞いたことあるけど、どういうものだっけ、MRIとは 何が違うんだろう」という程度の理解度でしたが(注1)、今後複数回撮ることになるとは、この時は知る由もなかったのでした。少しでも動くことは痛みを伴って困難でしたが、ずれながら何とか検査台へ移動し、指示に従って呼吸を整え、姿勢を変えて数枚撮ります。

ほどなくして、今度は同じ部屋にあるCTを撮ります。造影剤を投入するとのことでリスクを説明されて書類にサインし、撮影室に入室します。医師の説明に従って呼吸を整え、CTの機械が体を通過する(実際に体の方が動いている)のを待ちます。ほどなく点滴が打たれ、造影剤がロボットにセットされます。撮影の準備がされ、開始の直前に造影剤が注入されます。説明通り、体が芯からじわりと熱くなる感覚がありました。お酒を飲むより効きが早い気がしました。じっくりと体を機械が通過していき、何度か撮影しました。そしてまた元いた診察室へ戻ります。

診断

容態は落ち着いていましたが、お腹は相変わらず痛いままです。しばらくすると、医師から説明を受けます。「レントゲンやCTの結果、お腹に空気、いわゆるフリーエア(free air)が溜まってしまっている。恐らく腸のどこかが破れてしまっている状態。」

「えっ!? 腸に穴?」自分が思ってもみなかった診断結果に動揺します。「夜に腹痛で苦しんでいる間に水を飲んだ時に、腸からじわりと染み出しているような感覚がしたのはもしかしてそのせいだったのか」などと思いを巡らせます。中学生の頃のようにウイルス性胃腸炎をこじらせてしまったくらいに思っていたのが、大事になってきました。

心なしか医師や看護師の空気が変わり、病棟に問い合わせたり、何かの準備でバタバタしだしたり騒がしくなってきました。私の方はというと、あれよあれよと言わぬ間に心電図モニタのケーブルや酸素マスクが体に着けられ、点滴が追加されました。医師に「よく一晩耐えられましたね。痛かったでしょう。」と言われましたが、今考えるともっと早く救急車を呼んでおけば良かったと思います。

病棟側から医師がいらっしゃって、同様の説明に加えて「このままだと腸内の細菌で感染症や敗血症になって命に関わるので、今から緊急で入院して手術します。」と伝えられます。

入院そして消化器内視鏡検査

腸の穿孔が判明すると、物事の進みは非常に早かったです。ストレッチャーに乗せられて病棟へ移動します。途中で医師に「一晩我慢してしまいましたが、それによる影響はありますか?」と聞くものの、特に大きなものはなさそうで、少し安心しました。

病室に移動し、救急のベッドから病室のものに移って横になってしばらくすると、再び医師が来て説明を始めます。「空気がお腹に溜まってしまっていて、CTやレントゲンでは穴が小腸にあるのか大腸にあるのか分からなかったので、胃カメラで調べます。」そこからまたストレッチャーに乗り換えて移動をし、胃カメラ(腸の方まで見るのであれば、それは果たして「胃カメラ」なのだろうかと思いつつ)をするフロアへ移動します。

胃カメラをする前の準備室のようなところへ移動して待機している間に、様々な手続きや説明が一気に舞い込みます。入院の手続き、胃カメラを受けるにあたっての説明、今後行う手術のリスクの説明、両親への電話、会社への連絡、中には「もし大腸に穴があった場合は、一時的に人工肛門になる可能性がある」という説明もあり、今まで「よく分からないけど何とかなるのでは?」と思っていたところに一気に緊張感が高まり、自分が思っていた以上に大事だということに気づき始めます。

胃カメラの準備ができたようで処置室に移動します。点滴、心電図のコードなどが繋がれ、希望した通り麻酔薬が注入されて、意識が遠のいていきます。かすかに意識が戻り始めると医師たちが会話しているのが聞こえます。段々意識がはっきりしてきて、胃カメラを操作してい医師の姿が見えるようになり動揺しました。胃カメラが極端に苦手な自分は麻酔薬を投与してもらって、気づいたら終わっているというようにすることが多かったので、術中に目覚めてしまう経験をしたことがなかったからです。「目が覚めてる」というようなことを言いましたが、口から胃カメラ用のチューブが入っている状態ではうめき声のようにしか聞こえませんでした。さらにまだ胃カメラの操作中だったため嘔吐反応まで出てきました。医師や看護師がそれに気づいたのか、そこからの記憶は再び無くなりました。

次に気がついた時には再び医師と看護師に囲まれ、「内視鏡で腸の方まで見たが、結局小腸か大腸か分からなかったので、致し方なくこれから手術室に入って開腹手術を行う」と説明されます。自分では何もすることができないので、説明を聞いて手術に同意します。

手術室

そこから先はまな板の上の鯉状態で、あれよあれよと手術室へ運ばれます。救急車と同じように手術室など入ったことも見たこともなかったので、どんなものかと少し楽しみにしていた自分がいましたが、ストレッチャーから見える光景は限定的で、看護師にも囲まれていたので、残念ながらあまり手術室のあるエリアの様子は見ることができませんでした。ただ、通常の病棟とは異なり必要な医療機器のみが存在するピリリとした工場のような雰囲気で、心なしか涼しいと感じました。

ここでも通常病棟と手術エリアでの領域の境界があるようで、普通の白衣を着ている看護師から、手術用の帽子、防護服、手袋を装備した看護師への引き継ぎ作業がなされます。手術の内容やリスクを再度確認され、内容に同意するサインをします。

手術台に上がると、衣服を脱がされ、体を拭いていただいて、手術用の衣服に着替えさせられました。手術で開腹する予定のところに消毒液を塗られた記憶が朧げながらあります。酸素マスクと心電図のコードが付けられ、よく映画やドラマで見るような、「ピッ、ピッ」というリズミカルな音が手術室に響きます。上を見ると手術用の照明と鏡があり、「あぁ、これから手術になるんだな」という実感が強くなってきます。

麻酔科の医師が「これから全身麻酔をしますね。次に意識が戻るのは手術後ですよ。」と話しかけ、「はい、分かりました」と答えると、マスクへ麻酔薬が放出されたようでした。「何か意識が薄くなってきた気がするけど、意外と眠くないんだな」と思ったところで意識は途切れました。

この経験から

  • 「いつもと違う」と感じたら、早めに医療機関へ相談する
  • 自分で「大したことない」と判断しない
  • 結果的に何もなければ、それが一番
  • 救急車を呼ぶときに、入院準備まで完璧にする必要はない
  • スマホ・身分証・必要な貴重品だけ持っていけば、あとは病院に着いてから考えればいい

脚注

  1. CTはX線、MRIは磁気を使用する ↩